適格請求書発行事業者はどんな情報が公表されるの?

2023年(令和5年)10月1日から始まった適格請求書等保存方式、通称インボイス制度。

インボイスを発行するためには、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」になる必要があります。そして、適格請求書発行事業者の登録は消費税の課税事業者しかできません。

取引先が適格請求書発行事業者かどうかの確認が必要になるため、確認方法と公表されている情報について解説していきます。

インボイス制度について詳しくははこちらをご参考ください。

➤インボイス制度 わかりやすく

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まず、インボイス登録申請の簡単な流れは以下のようになります。

  1. 登録申請書を提出(電子申告又は郵送)
  2. 税務署による審査
  3. 税務署側で登録と登録簿への登載
  4. 税務署から申請者へ通知…この通知に登録番号などが記載されています。

弊社ではこの登録申請の代行も行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

適格請求書発行事業者として登録された事業者の登録情報については、2021年11月1日より国税庁が運営する「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号から検索できるようになっています。

適格請求書発行事業者公表サイトは、消費税法第 57 条の2に基づき、適格請求書発行事業者の登録・取消・失効状況を公表するものです。このサイトでは、受領した請求書等に記載されている番号が、「登録番号」として取引時点において有効なものか(適格請求書発行事業者が登録の取消等を受けていないか)を確認 することができます。

Search button on virtual screen pressed with finger

前述のとおり、この検索サイトによって、「正しい登録番号か」「現時点で有効な登録番号か」をインボイスを受け取った側が確認できるようになります。

具体的な検索方法は次の通りです。

  1. ①取引先から受け取ったインボイス(書面orデータ)を用意
  2. ②「適格請求書発行事業者公表サイト」にアクセス
  3. ③ホーム画面 → 登録番号を検索する入力欄に、インボイスに記載されている「登録番号」を入力※Tは入力する必要がなく、数字のみ入力します。
  4. ④検索をかける

法人個人
氏名又は名称〇公開※〇公開申し出により主たる屋号の公開も可
本店又は主たる事務所の所在地〇公開※△申し出により主たる事務所の所在地等公開可
登録番号〇公開〇公開
登録年月日〇公開〇公開
登録取消年月日登録失効年月日〇公開〇公開

※個人事業者の氏名について、「住民票に記載されている外国人の通称」若しくは「住民票に併記されている旧氏(旧姓)」を氏名として公表することを希望する場合又はこれらを氏名と併記して公表を希望する場合は、必要事項を記載した公表申請書の提出が必要。

※人格のない社団等は申出により、本店又は主たる事務所の所在地を追加で公表可能

上記のほか以下の項目については公表(変更)申出書を提出すると公表できます。

  • 個人事業者の「主たる屋号」、「主たる事務所の所在地等」 
  • 人格のない社団等の「本店又は主たる事務所の所在地」

登録番号は以下のような構成になっています。

法人番号を有する課税事業者

「T」+ 数字13桁の法人番号

上記以外の課税事業者(個人事業者、人格のない社団等)

「T」+ ※数字13桁

※13桁の数字には、マイナンバー(個人番号)は用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号になります。

出典:国税庁「登録番号とは」

上記の法人番号は国税庁の「法人番号公表サイト」で誰でも検索ができます。
検索方法として以下をご参照ください。

法人の名称・所在地などから法人番号を調べる方法

「法人の名称・所在地などから法人番号を調べる」画面では、法人種別の選択、変更履歴を検索の対象に含めるか否かの選択、検索対象除外法人や登記記録の閉鎖等が生じた法人を検索の対象に含めるか否かの選択など、「検索条件の設定」を組み合わせることにより、検索結果を絞り込むことができます。
そうして検索して出てきた法人番号を適格請求書発行事業者公表サイト」へ貼り付けると入力間違いをすることなく、取引先が登録をしているかどうかを確認できます。

今回のインボイス制度は、事業を営んでいる個人の方も対象ですが、令和4年9月ごろには、適格請求書発行事業者公表サイトで「個人の氏名や事務所住所がCSVファイル等にてダウンロード可能」という状態になっていました。この件を巡って本名ではなく芸名等を使っている人や、居所を事務所としている人から「公表したくない情報をインボイスのせいで出さなければならない」と反発がありました。

結果、全件ダウンロードは一時凍結され、再開後の個人事業主の方のデータは「登録番号」と「登録日・更新日」のみとなりましたが、登録番号を検索にかければ、氏名は出る状態です。なお、公表の申し出があった場合のみ、検索では所在地と屋号が表示されるようになります。

改善後の現状でも、取引先には本名が分かってしまいますから、どうしても本名を公にしたくない場合は、取引先と秘密保持契約を結ぶとか、インボイス事業者にならない選択をするとか、大がかりだったりコストがかかったりしてしまいます。

また、適格請求書発行事業者公表サイトで公表されているデータについては「商用利用可能」となっています。これは会計ソフト会社が自社のシステムでユーザーがインボイス番号の照会をできるような機能を実装するためという配慮ですが、住所や氏名が出ているデータを商用利用可とするのは、昨今の社会情勢に照らせば反発が多く出るのは当然ともいえます。

現時点で消費税の納税が免除されている免税事業者であれば、今後、インボイス制度に対応するために課税事業者へ変更する必要性にせまられる場面がでてきます。課税事業者となれば、消費税の納税義務が生じますが、免税事業者のままであれば取引先とのビジネスにおいて不利益となる可能性もあります。
適格請求書発行事業者でない取引先への経費は、原則的に仕入税額控除の対象外となるためです。
しかし、前述のとおり公表サイトで公表されるリスクも存在します。
自社が適格請求書発行事業者になるかどうか、
取引先が適格請求書発行事業者かどうか・適格請求書発行事業者になる予定かどうかをしっかり確認し、その後の対応を検討しましょう。

弊社では確定申告・インボイスの申請代行等のサポートを行っておりますのでお気軽にお問い合わせください(^^)

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