インボイス 課税事業者

2023年10月1日からインボイス制度が導入されました。

インボイス制度は、課税事業者だけではなく、免税事業者にも影響を及ぼす可能性があります。しかし、重要な制度であるにもかかわらずまだあまり周知されていません。

今後、事業を展開していくためにはインボイス制度への対応が必要不可欠です。この記事では、インボイス制度の概要や考えられる影響、対応策について詳しく解説します。

インボイスを発行しないと、販売先は原則として消費税の仕入税額控除ができません。そのため、課税事業者においては自社の税負担増に繋がるケースや、免税事業者においては取引を見直されるケースが発生する恐れがあります。

課税事業者である自社は仕入税額控除を行い、消費税を納付します。仕入先からインボイスを入手できないと、自社は仕入税額控除ができません。

そのため、自社の税負担の増加につながる可能性があります。

ただし、簡易課税制度を選択している場合には、みなし仕入率に基づき仕入税額控除の計算をしますので、自社の税負担は増加しません。

また、インボイス制度導入後6年間は、免税事業者等からの仕入についても一定割合(最初の3年間は80%、次の3年間は50%)を仕入税額控除できる経過措置がありますので、上手に活用しましょう。

仕入税額控除の対象となるのは、インボイスが発行できる事業者だけです。取引先の中に免税事業者が含まれている場合、買い手側は損をしないために今後の対応を考える必要があります。

ここでは、交渉すべき内容と交渉する際の注意点を解説しましょう。

  • 1,課税転換してもらう

これまで通り仕入税額控除を受けたいのであれば、免税事業者に課税事業者への転換を勧めましょう。

注意点としては、取引価格の引き上げを求められることが考えられます。免税事業者が課税事業者に転換すると、今まで支払わずに済んでいた消費税額を支払う必要が出てくるためです。どこまで引き上げ可能か吟味し、双方で話し合って取引価格を決定しましょう。

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  • 2,取引価格の減額を要求する

免税事業者が課税事業者への転換を受け入れない場合は、取引価格の引き下げの交渉を行うのも1つの手です。

免税事業者との取引は仕入税額控除の対象にならないため、買い手側は今までより多くの消費税額を支払わなければなりません。その分取引価格を引き下げてもらえれば、支出を抑えられます。

しかし、取引価格の引き下げは免税事業者にとっては負担が大きくなるため、交渉が決裂する可能性もあります。制度導入後の影響を加味して、適切な取引価格を設定しましょう。

※交渉時には法に触れないように注意する

免税事業者との交渉を行う際は、独占禁止法や下請法などに違反しないよう十分注意しましょう。

独占禁止法とは、公正で自由な競争を実現するための法律です。私的独占の禁止や不公正な取引方法の禁止などを命じています。

下請法は、独占禁止法の補完法で、親事業者から下請事業者への不当な取り扱いを規制する法律です。受領拒否の禁止や下請け代金の減額の禁止、報復措置の禁止を命じています。

課税事業者への転換を拒んだことを理由に一方的に取引を停止したり、価格交渉を一方的に拒否したりすると、独占禁止法や下請法に違反してしまう場合もあるため、交渉は慎重に行わなければいけません。

インボイス登録を行うか否かは「任意」というのが制度上のルールとなっています。

従って、インボイス登録を行わないとしても何らルール違反にはならないのですが、多くの事業者でインボイス登録を迫られることが予想されます。

しかし、これまで消費税の申告を免除されていた事業者にとっては「可能であればインボイス登録を行わないでおきたい・・」というのが正直なところではないでしょうか。

本項目はインボイス登録を行わなくてもデメリットが生じない(もしくはデメリットが限定的な)ケースをご紹介します。

インボイス登録を行うか否かを迷われている事業者は本項目を参考に、自社に当てはまるものがないかをご検討いただければと思います。

インボイス制度は、端的に特徴を言ってしまうと、「インボイス登録を行っていない事業者への支払は消費税控除が制限される」という制度であり、取引の顧客側にデメリットが生じる制度です。

ここで、顧客が一般消費者のみである事業を行っている場合(例えば小売業など)、顧客側に消費税申告が必要とされませんので、消費税控除ができないというデメリットが生じず、結果として、インボイス登録を行わないという選択肢も生じ得ます。

補足すると、仮に自社が課税事業者である場合であっても(例えば基準年度(※基本的には2年前)の売上高が1000万円以上の事業者)、一般消費者のみが顧客であれば、同様の理由から、インボイス登録を行わないとこともあり得ます。この場合、消費税計算上のメリットはないですが、適格請求書発行事業者の登録番号を取得・管理するなどの事務負担が不要になるという利点があります。

インボイス制度の抜け道をついたような形になりますが、制度の仕組みを踏まえると、顧客が一般消費者でなくても(つまり事業者であっても)、免税事業者または簡易課税事業者のみである場合にもインボイス登録しないことも選択肢になり得ます。

インボイス制度は「顧客側で消費税控除が制限される」というデメリットが生じる制度であるため、顧客が事業者であっても、それら事業者が「免税事業者」又は「簡易課税事業者」であれば顧客側に消費税の控除が必要ないためです。

ただし、顧客が免税事業者 or 簡易課税事業者であることを客観的に把握することはできませんので、顧客への確認や交渉が必要になるでしょう。

なお、1年間の売上高が5,000万円を超えている場合、そもそも免税事業者 or 簡易課税事業者となることはできませんので、売上高5,000万円を明らかに超える(超えてそうな)顧客がいる場合、残念ながらこのケースに当てはまる確率は低くなります。

繰り返しになりますが、インボイス制度は「顧客側で消費税控除が制限される」というデメリットがある制度です。

従って、顧客側がそのデメリットを受容し、免税事業者のままでいても従来の取引条件・価格を継続(あるいは若干の値引き程度で妥結)することに了解が得られるので場合は、インボイス登録を行わないことも十分考えられます。

もし顧客が数十社いるような場合、全ての顧客に了解が得られることはかなり難易度が高いと予想されますが、一方で、顧客が数社など限られている場合は、インボイス登録を行わないことができるか個別に交渉してみる価値があります。

自社が課税事業者であっても、インボイスの登録申請を行わない場合には、免税事業者の場合と同様に、販売先は仕入税額控除をすることができず、販売先の税負担が増加するので、取引を見直される可能性があります。

上記ケースのいずれかに当てはまり、「インボイス登録を行わない」という判断を下した場合でも、将来的に営業面で不利に働く可能性があり得るという点には留意が必要です。

例えば、以下のような事例を見てみましょう。

・当社は顧客から了解が得られる場合に当てはまったので、インボイス登録を行わないこととした。

・インボイス制度開始後、新しい候補顧客との商談。もう少しで商談がまとまりそうであるが、商談の最後で顧客から「インボイス登録の有無」を確認された。

・相見積先の競合他社はインボイス登録を行っており、自社はインボイス登録を行っていないことが判明

・提案内容では自社が勝っていたようであるが、インボイス登録を行っていない(顧客側で消費税控除ができない)ことが決め手となり、交渉は破談に上記はあくまで架空の事例ではありますが、B to Bの事業を行っている場合は、この事例に近い事例に出くわす可能性がある点も勘案したうえで、インボイス登録の是非を検討すべきです。ただし、インボイスの発行事業者になるかどうかは任意であるため、最終的には経営者の判断となります。

今回はインボイス制度の課税事業者への影響についてまとめました。
消費税を除いた売上が1,000万円以上あり、消費税の納税義務が発生するのが課税事業者です。
インボイスを発行するためには、適格請求書発行事業者として登録が必要です。税務署に登録申請書を提出しましょう。登録申請書はe-Tax(国税電子申告・納税システム)から提出できます。個人事業者はスマートフォンからでも申請可能です。郵送で提出する場合は、各国税局のインボイス登録センター宛に送付してください。提出後は税務署長が登録を行い、事業者に登録番号を通知します。この一連の流れが完了したら、適格請求書発行事業者として認定されます。
適格請求書発行事業者に登録されると、買い手(取引先)がインボイスの交付を求めたら応じる義務と、交付したインボイスの写しを保存する義務が発生します。業務の煩雑化を避けるために、制度開始前にインボイスの作成・保存ができるシステムを導入しておくと良いでしょう。

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